釣り大好き、なすとと(@_nastoto)です。
国内最大の湖である滋賀県・琵琶湖。釣り好きにはバスフィッシングの聖地として有名ですよね。
琵琶湖には「淡海の宝石」とも呼ばれるまぼろしの魚がいるのはご存知でしょうか。
琵琶湖固有種のビワマスです。
ビワマスは湖北沖の水深が深いところに生息しているので、なかなか目にすることはありません。
ビワマスの身は甘みをもった上質の脂がのり大変美味です。流通量が少なく地元の人でもめったに口にすることができない魚なのです。
その希少なビワマス釣りを体験してきました。
ビワマスとは
ビワマスは琵琶湖だけに生息する固有種でサケ科に属しています。7〜15度の低水温を好むため、おもに湖北の水深が深いところに生息しています。つまり、岸からはまず釣ることができない魚なのです。
コアユやエビを食べているため、上質な脂がのり大変おいしい身になります。大きいものでは60〜70cmにもなります。
環境省のレッドリストに準絶滅危惧種として指定されており、採捕するにはさまざまな条件があります。
ビワマスの釣り方
ビワマスを釣るにはトローリングで
沖の水深が深い水域を回遊するビワマスは、船でルアーを流して釣るトローリングで狙います。主にダウンリガーという北米で盛んな釣り方を使います。
トローリングでのビワマス釣りが行われるようになったのは2000年代に入ってから。琵琶湖ではまだ新しい漁法といえます。それまでは、ビワマスは釣ることができない魚と言われており、おもに刺網漁で採捕されていました。
具体的な釣り方はつぎの通りです。
- 船で水深60〜80mのポイントへ
- ドジャー(集魚板)とルアー(スプーン)をつけた仕掛けをダウンリガーで沈めてレンジキープ
- 時速3〜5キロほどの歩くスピードでトローリング
- 竿がしなったらリールを巻く
はじめてビワマスを釣りをする人は、プロガイドの釣り船を利用するのがおすすめです。釣竿や道具も貸してもらえるので、ビワマスを持ち帰るクーラーボックスだけの用意でOKです。
個人でのビワマス釣りは届出が必要
ビワマスは岸からの釣りでは狙うことができませんが、カヤックやゴムボートを利用したトローリングでは実績があります。
ただし、トローリング(引縄漁)でのビワマス釣りは承認制となっており、漁業者以外の個人が船舶を用いて釣りをする場合は滋賀県への届出が必要です。
ビワマスの全長制限
全長30cm以下のビワマスは採捕してはいけません。資源保護のためにも釣れた場合はリリースしましょう。
ビワマスの禁漁期間
産卵保護のため10月1日〜11月30日はビワマスの採捕・所持・販売が禁止されています。違反した場合は滋賀県漁業調整規則により処罰対象となります。
【体験談】ビワマス釣りに行ってきた
産卵保護のための禁漁期まぎわ、9月下旬にビワマス釣りに行ってきました。
この時期のビワマスは産卵にそなえてエサもたくさん食べているので、よく脂がのっているとのこと。期待が高まります。
早朝6時に出航なので、5時45分には港に集合。琵琶湖最北エリアの海津大崎にあるファイブオーシャンマリーナへ。
今回お世話になるのは、ビワマスフィッシングガイドの京丸さん。船長は北極から南極まで世界中の海を航海した経験を持つ、根っからの船乗りです。
昨日はよく釣れたようで、本日も釣果に期待できます。ビワマスは持ち帰りが1人1日5匹までと定められています。
参加者4人で船を6時間貸し切りで、お値段54,000円。一人あたり13,500円です。
サービスとしては、船長の操舵とガイド、竿・ルアーなどの釣り具もすべて貸してもらえます。さらに、お弁当と持ち帰り用の氷まで準備してくれます。
ボートは全長7.5m、最大定員8名、トイレ完備で女性も安心。150馬力のエンジンは最大速力30ノット(55.5km/h)で、琵琶湖の湖面を駆けぬけます。
ポイントまでの移動とタックルの準備の間に、船長からお弁当をいただき腹ごしらえ。
ポイントに着きました。魚探の水深は60m前後を表示しています。
ビワマスのいる深さまで確実にルアーを送りこむためにダウンリガーを使います。ダウンリガーはオモリを吊したワイヤーとウインチのようなものです。
ルアーをビワマスが回遊している深度まで沈めたら、人が歩く程度のスピードで船を流します。
竿がしなったらファイト開始。勝手が分からずあたふたしていると船長から怒号が飛びます。
巻き心地は回転する集魚板の抵抗もあり、バスフィッシングに比べたらただ重みを感じるだけに近いです。たまに魚がビビビっと引く感触は伝わってきます。
さっそくビワマスが2匹釣れました。銀色にかがやく端正なフォルムがとても美しい魚です。43〜45cmのよいサイズ。
出だし好調で期待できます。
しかし、その後はなかなかヒットしません。
今日はビワマスの食いが悪いようです。
ヒットが途切れると、船でルアーを引くにまかせるトローリングはなかなか退屈です。
ねむい…。
日本人にはルアーやエサをつけかえたり、竿をしゃくったりと忙しい釣りのほうが性に合うらしい。なるほど、そのとおりかも。
ポイントをかえてさらに2匹。その後はヒットがいくつかあったものの釣れるのはウグイやハスばかり。すべてリリースします。
結局、ポイントを3か所まわって、ビワマスは40cmオーバー4匹の釣果。
正午過ぎには帰港です。
今回はいまいちビワマスの反応が良くなかったようです。それでもなんとか1人1尾持ち帰れる数は釣れて満足。
ビワマスを新鮮なまま持ち帰るには、長辺が60cm以上ある大きめのクーラーボックスは必須です。
家に帰ってさっそく調理します。
ビワマスの食べ方
ビワマスは刺身・塩焼き・煮付け・しゃぶしゃぶ・押し寿司など、どう調理しても美味しくいただけます。船長のおすすめは刺身としゃぶしゃぶ。
郷土料理としては、ビワマスの身を米と一緒にして炊いた「あめのいおご飯」が特産品です。
ビワマスは産卵期の雨の日に生まれた川に遡上してくることから雨の魚(あめのいお)とも呼ばれています。
生食で気になる寄生虫ですが、サケ・マスに寄生するアニサキスは海に由来するので、琵琶湖で育つビワマスにはついていません。ほかにも有害な寄生虫はみられません。
それでも、生食に抵抗ある人は塩焼など火を通した料理でも十分おいしいです。
1匹のビワマスをさばいて3品作ってみました。このサイズの魚を自宅でさばくことはほとんどないので下手くそ…。
- ビワマスの刺身
- ビワマスのマリネ
- ビワマスのアラ塩焼き
甘みのある脂がよくのっていますが、しつこくありません。食感はサケより柔らかな感じ。臭みはまったくなく、しっかり旨味があります。サケより上品で上等な印象。間違いなく、とてもおいしい魚といえます。
3歳の娘も「おいしーよ」と、ビワマスの塩焼きをパクパク食べていました。
こんなにおいしい魚が琵琶湖にいたなんてちょっと驚きです。
フィッシングの魅力というよりは、ビワマスの味に魅せられたリピーターが多い、と船長が言っていたのもうなずけます。
次回は、よく切れる包丁でさばく練習をして、魚をささっと捌けるようになっておきたいものです。
まとめ
トローリングで待つビワマス釣りは普段釣りをやる人には、ややおもしろみに欠けますが、キレイでおいしい魚が釣れたらやはり嬉しいものです。
なかなかお店で買えない魚なので、それを自分で釣って捌いて食べれるのは貴重な体験でした。
日本一広い琵琶湖をクルージングしながら幻の魚を釣るビワマスフィッシング。琵琶湖に行った際には体験してみてはいかがでしょうか。
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