狩猟初心者のなすとと(@_nastoto)です。
ちかごろ、ジビエブームや狩ガール、狩猟マンガなどをきっかけに狩猟に注目が集まっています。
狩猟の担い手不足や年間200億円にせまる鳥獣による農業被害の対策など、社会貢献の面でも新たなハンター増員が期待されています。
興味はあるけど、「ハードル高そう。お金もかかりそう」「素人でもできるの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
かけだしハンターの僕の実感として、実際に狩猟をおこなうには、
都市部住みのサラリーマンにはかなりハードルが高い
と言わざるをえません。おもな4つ理由を見ていきましょう。
狩猟・銃砲関連の平日に行う手続きが多すぎる
狩猟をはじめるには、まず狩猟免許を取得します。銃猟をやりたい人は、猟銃所持許可も並行して進めます。
それにともなう講習や試験、数々の手続きが必要ですがほとんどが平日におこなわれます。
土日休みの仕事をしている人は、その都度平日に休みを取らないといけないのでなかなか大変です。
散弾銃など火薬を使う「装薬銃」を所持して、狩猟を始めるまでに必要なステップは次の通りです。
- 狩猟免許関連
- 狩猟免許試験対策 初心者講習会 申込
- 狩猟免許試験対策 初心者講習会 受講
- 狩猟免許試験申込
- 狩猟免許試験受験
- 銃所持関連
- 猟銃等講習会(初心者)申込
- 猟銃等講習会(初心者)受講
- 教習資格認定申込
- 警察の身辺調査・面談
- 教習資格認定受取り、猟銃火薬譲受許可証発行
- 教習射撃申込・受講
- 所持する予定の銃について譲渡承諾書を受領
- 銃砲所持許可申請
- ロッカー立入検査
- 猟銃空気銃所持許可証交付
- 銃の譲渡受取り
- 銃の確認
- 狩猟登録
- 狩猟登録手続
いかがでしょう。
上記のほとんどが平日で行われると考えたら、なかなか大変ですよね…。
この条件だけで、仕事の都合上ムリな人は結構いるんじゃないかなと思います。
ハンターには仕事を引退した年配の方や自営業の方など、時間に融通効く方が多いのもうなずけます。
それでも、最低限これだけの手続きをクリアしないとハンターとしてのスタートラインにすらたてません。ハンターを目指す人は、なんとか時間を確保してがんばりましょう。
わな猟だと狩猟免許をとって狩猟登録するだけなので、実猟をはじめるまでのステップは銃猟にくらべてかなり短縮できます。
しかし、いざ猟をはじめてからはわなの見回りを毎日しないといけないので、猟場が近くにないサラリーマンにはなかなか難しいです。
そんな人は、週末の休み前に設置して休み終わりに撤去、というサイクルでやりましょう。
同居家族の理解を得るのが大変
猟銃を所持し、獲物を撃って、解体し食べる。狩猟とはそんな生々しい行為です。
狩猟行為も銃器を自宅に置くことも、同居家族になかなか理解されない人も多いのではないでしょうか。
僕の場合、奥さんが田舎出身なので子どもの頃から、わりと身近に狩猟活動があったとのこと。
友人のお父さんが狩猟やっていたり、山からポンポンと鉄砲の音が聞こえてきたりしていたそうです。まだ狩猟に対するアレルギーは少ないはずでした。
それでも、いざ自宅に銃を置くとなると話は別です。
(台所に鍵もかけず並んでいる包丁のほうが、誰にでも扱えて危険かと…)
最終的には、いやいやながらもOKしてくれましたが、
といわれています…。
銃所持許可までの身辺調査では、警察の同居家族への聞き込みもあるので、家族の理解は得られるようにしておきましょう。
普段から肉や魚を食べている人にすら、狩猟行為はかんたんには理解されにくいことです。
家が農家で日々鳥獣害に悩まされているひとならともかく、そうでない人は同居家族の説得材料に欠けるかもしれません。
まずは、美味しいジビエ料理を一緒に食べてみることから始めてみてはいかがでしょう。
狩猟ビギナーはグループに加入しにくい
狩猟免許・銃所持までは無事済んでも、狩猟ビギナーにとってはまだまだ分からないことだらけです。猟場探しから狩猟技術などなど。
鳥猟やワナ猟なら単独でもはじめやすいですが、イノシシ・シカなどの大物猟となると巻き猟というグループ猟が一般的です。
初心者はまずグループに入れてもらうのが早いと思いますがそれもなかなか大変です。
その理由は次のとおりです。
- 狩猟グループの横のつながりが薄い
- 初心者はグループに入れてもらいにくい
- 出猟のスケジュールを合わせるのが難しい
狩猟をやるひとの多くは猟友会に加入することになるかと思いますが、思いのほか横のつながりは薄いと感じています。
同じ地区の支部員同士でも、他グループのメンバーとはお互い顔を知らないことはざらにあります。
初心者は経験者の紹介がないとグループに誘ってもらえる機会もなかなかありません。そもそも、他の支部会員と顔を合わす機会は、狩猟登録手続きのときや、猟期前の支部の射撃大会くらいでしょう。
初心者が敬遠される理由として、殺傷能力がある銃の取り扱いが素人のメンバーを招き入れるのはグループにとって安全ではない、ということも理解できます。
僕の場合は、身近に狩猟をやる人はいなかったのですが、教習射撃の際の指導員にグループを紹介してもらいました。
しかし、仕事の休みがグループが猟に出る曜日になかなか都合がつかず、結局一緒にやるのは難しいかな、ということになりました。
グループ猟をやるには難しい人は、
- 単独で鳥猟やワナ猟をやる
- 忍び猟(単独大物猟)のスキルを身につける
- 猟犬を飼う
などの方法があります。
家の近辺に猟場がないと苦労する
僕のように都市部に住んでいて、おもに趣味として狩猟おこなう人にとってはまず猟場探しが課題です。
自宅近辺に猟場がない場合は遠くまで出向くことになりますが、その分デメリットも多くなります。
- 移動に時間を費やす
- 現場の地理になじみが薄い
- 地元の狩猟グループに配慮が必要
自然の恵みである動植物は、地元の人の大切な天然資源でもあります。地元グループの猟場には立ち入らないようにすべきでしょう。
地元グループに入れてもらって猟をする場合は別ですが、そうでない人は次の内容をふまえて猟場を選ぶとよいでしょう。
- 人里はなれた場所
- 車でアプローチしにくい場所
- 地元の狩猟グループが入ってこない場所
つまりは、山深く他の人が立ち入ってこないであろう場所が候補地になりますね。
ただし、自分たった独りの人気のない山深い場所には危険もあります。
- 自宅ー猟場までのアプローチに時間がかかる
- 遭難やケガの際のリスクが増える
- 獲物の解体を捕獲現場おこなわなければならない
- 獲物の運び出しが大変
などが考えられます。
グループは無理でも、できるだけ2人以上で山に入る、携帯の電波が届かない場所にはいかない、GPSを携帯するなどの注意は必要です。
猟場はなるべく住まいから近くて、ほかの人とバッティングしない場所を見つけるにことにこしたことはありませんね。
まとめ
狩猟をはじめるにはなかなかハードルが高いことがお分かりいただけたでしょうか。
それでも、アウトドアの様々なスキル・ギアを駆使し、天然無添加のお肉が手に入り、鳥獣害対策など社会貢献につながる、など狩猟は大変魅力的な趣味です。
簡単にはいかないからこそ、自分の生活にあわせてできる狩猟スタイルを見つけていくのも楽しみの一つではないでしょうか。
これから狩猟を始めようという人の参考になれば幸いです。
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